ブログ

2023.06.20

麻疹(ハシカ)の流行再来!?

今年の第22週時点で麻疹患者が全国で14人との報道があり去年の罹患数を超えました。東京都で5名、大阪で3名、兵庫でも2名報告があります。
2歳以下が3名、残り11名は20代以上です。

麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身性感染症です。 空気感染し、感染してから10~12日後に発症します。手洗い、マスクのみで予防はできません。また感染力が強く、ワクチン未接種の場合ほぼ100%罹患するとされています。

発症すると、発熱、咳、鼻水、目の充血、発疹などの症状が現れます。重症化すると、肺炎、脳炎、肺炎球菌感染症、細菌性髄膜炎、脳症、血小板減少症などの合併症を引き起こすこともあります。

麻しんワクチンは、1回接種のみでは2-5%の割合で免疫が十分には得られない場合がありますが、2回接種をすると免疫獲得率は97-99%以上とされています。日本も2回接種にしたことで、麻しんの国内発症が減少し、2015年には世界保健機関(WHO)より国内麻しん排除状態と認定されるまでに至っています。しかし、麻しん・風しん2期(5-6歳)の接種率は目標の95%に達していないこともあり、国外からの輸入感染による集団発生は未だに認められています。そのため国民全員が2回の予防接種を行い、集団免疫を高めておくことが非常に重要です。
また、麻しんの免疫が不十分な方でも、麻しん患者と接触後72時間以内にワクチンを接種することで麻しんの発症を防げる可能性があります2)(緊急接種)

麻疹に感染してしまった場合は、早めに医療機関を受診してください。麻疹は、重症化すると死に至ることもあるので、早期発見・早期治療が大切です。
麻疹の治療は、対症療法が中心です。発熱に対しては解熱剤を、咳に対しては鎮咳剤を、発疹に対しては抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用します。また、重症化した場合は、入院して治療を行うこともあります。

世界では年間9−15万人が亡くなり、2019年には20万人の死者が出ました。
ワクチン接種の遅れている国では死亡率が3%〜6%でさらに増える可能性があるとされています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、海外でも日本でも様々なワクチンの予防接種率が下がり、2023年6月でも地域によってはインフルエンザが流行したりと感染症のブレイクアウトが起こっています。
新型コロナウイスるが5類に移行されるようになり、国際的な人の往来が徐々に増加しています。麻疹に感染した国内外からの観光客が、公共交通機関等を利用することで国内での広域的な麻しん患者発生への影響も懸念されます。

麻しんは、空気感染を含む多様な感染経路を有する感染性の強いウイルス感染症です。ワクチン接種が最も有効な予防法であることから、麻疹接種がまだや1回のみの方は接種を実施していただくようお願いします。

当院でも予約制ですが、自費の麻疹ワクチンに対応しております。
ご希望の方は、お電話やご来院時にお問い合わせください。